当院で検査室に入るとまず受ける検査が、「中をのぞきこんで赤い気球を見て下さい」という検査です。正式名称を「オートレフケラトメーター」といい、屈折の度合いを検査しています。屈折の度合いとは、いわゆる近視・遠視・乱視の度数の目安のことです。これにより検査でどのようなレンズを使うのかという目安がわかります。
仕組みとしては、体には害のない赤外線を当て、目の中でどのように光が屈折し焦点を結ぶかをみることで、近視・遠視・乱視の度数がわかるようになっています。現在は視力を測る際には必ず使用される機材となっています。
検査中、気球の絵がはっきり見えたりぼやけたりしますが、ぼやけるからといって心配はありません。眼は物を見る時にピントをあわせようとする機能が働くと、眼の筋肉が緊張状態になります。この検査では、ぼやけた絵を見てもらうことで、眼の緊張を取り、どこにもピントが合っていない状態をあえて作りだしています。またこの検査を受けたからといって、すぐに視力が分かるわけでもありません。あくまで目安であり、オートレフケラトメーターの検査結果と視力検査の結果は別物です。視力検査では、オートレフケラトメーターの度数を参考に検査員が1番良く見えるレンズを探っていきます。
最後に余談となりますが、先日あるテレビ番組で「なぜ気球の写真なの?」という疑問が投げかけられていました。実は開発担当者の苦労の末にできあがったのが、今のデザインのようです。正確な値を測定するためには、遠くを見ている状態をつくる必要があります。なぜなら、我々は遠くのものを見るときは水晶体を薄くし、近くを見るときは水晶体を厚くするというピント調整を自然と行っています。検査中にこのピント調整が働いてしまうと正確な検査結果がでないため、皆さんに遠くを見た状態を保ってもらうことが何より大切になります。そこで、当初はまっすぐにのびた道路の写真を撮り手前道路を太く先に行くほど細くすることで、道路の先に(遠くに)視線がいくように設定したそうです。しかし、視線の先がどうしてもばらつき1点に集中しないということで、後から気球を合成したようです。ですからこの検査を受ける際は、赤い気球を見て頂くことが大切であると同時に、我々人間にはピントを調節する機能があるため、この値はあくまで目安でしかないということになります。当院では気球の写真を見て頂いておりますが、家の写真や車など、違うデザインもあるようです。みなさんは、気球以外の写真で検査したことはありますか?